2013年9月25日

『ロスト・インタビュー スティーブ・ジョブズ 1995』を読むか、映画を観るか

試写会で映画『スティーブ・ジョブズ1995〜失われたインタビュー〜』を観た翌日、
単行本でスティーブ・ジョブズのインタビューを読んでいます。
「映画『スティーブ・ジョブズ1995〜失われたインタビュー〜』百式試写会(2013年9月24日) #STEVE_JOBS1995」


『ロスト・インタビュー スティーブ・ジョブズ 1995』

この本は、映画化されたインタビュー映像をもとに作られています。
構成は
  • 第1部としてインタビューの日本語訳を縦書きにしたもの 
  • 第2部として巻末から日本語訳付き英語版(見開きの左ページが英語、右ページが日本語)
です。

映画の日本語字幕と、書籍の日本語訳は異なります。
字幕の文字数は限られているのでテキストとしての情報量は、当然書籍のほうが上回ります。
また、充実した注釈もインタビューの理解を助けてくれます。

例えば、
だから社外のデビッド・ケリー・デザイン事務所*51に、マウスをデザインしてほしいと頼んだ。
という本文に対して
*51 スタンフォード大学で製造設計を学んだデビッド・ケリーは、デビッド・ケリー・デザイン事務所を設立。(中略)91年にデザインコンサルティング会社IDEOを創業した。
という補足があるのです。

スティーブ・ジョブズの言葉(書籍から)

印象に残った言葉を紹介します。

「that's just the way it's done」(そうやるものと決まっている)
会社経営をどう学んだのか?と質問されて、ビジネスのなかに陳腐化した考え方を見出した経験を語っています。
なぜそうなっているのか?という問いかけは、経営面でも製品の製造面でも共通している切り口のようです。

「It was obvious」(あまりにも明白だった)
将来を洞察した際のこの表現は、繰り返し登場します。
うーん、なぜ明白だったのか、もっと深掘りしてほしかったです…。

「product person」(製造部門の社員)
「sales and marketing people」(営業やマーケティング部門の人間)
製造部門を軽視して、営業やマーケティングを重視することの危険性を指摘しています。
製品を作り出すことへの思い入れが伝わってくるシーンでした。

「Ultimately it comes down to taste」(究極的には美意識の問題だね)
方向性をどう見極めるか、と質問されて答えています。
もしかしたら、obviousの理由かも。

この本に足りないもの

この本の情報の量と質に満たされつつ、それでも足りないものがあります。
ジョブズの表情や動きです。本だから当たり前なのですが。

どの質問でジョブズがしばし沈黙し、斜め下を見つめて答えを探したか。
どの質問でイライラを隠すように爪をかんだか。
トゥルルルルーという発信音のものまねがうまいこと。
くしゃみが甲高いこと。

情報の深さや重みは映像で、
情報の広がりや反復は書籍で。

どちらもスティーブ・ジョブズの世界を感じる助けになってくれます。

DVD とこの本のセットで売ってほしい、無茶なことを思いました。

参考リンク:「映画『スティーブ・ジョブズ1995 〜失われたインタビュー〜』オフィシャルサイト | STEVE JOBS 1995」

書籍版はこちら。

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